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後書き

 

●後書き

 

精神科に通院していると言うと、ひどく偏見の目でみられてしまう。
それは、大きな誤解だ。
あなた方だって、わけもなく、また仕事や人間関係のわずらわしさのあまり時に憂鬱になったりすることがあるでしょう。
そんな時、あなた方は正に抑うつ状態なのです。自分の心は、自分でもコントロールできないときがある。
体にいろんな病気があるように、こころつまり脳にも病気がある。
精神科に通院歴があるとマスコミは直ぐに報道し、精神科に通院している人は直ぐに犯罪を犯すとステレオタイプに報道する。なぜそんなことが言える。言い切れる。
寧ろ、犯罪者の多くは普段何の問題もない人たちのほうが多く、自己の利益のために犯罪に手を染めているのではないか。
 

本文を読んでいくにあたりスクロールをしなくてはならなく読みづらいというご指摘を頂戴した。
この反省にたって現在の文章スタイルに変更した。
スタイルの変更にあっても、できれば各章を順序だてて読んで頂きたく思う。
体験者ご自身がご自身を見つめなおし、現状を考えてほしいからである。
一足飛びに治療論や加害者に対する私の気持ちをお読みになると、変な誤解や、治療者の妨げになるような事態になりかねないと思うからである。
できうるものならば一冊の読み物として読んでいただきたいのである。
これはノンフィクションである。

 

元神戸大学医学部精神神経学教室講師 安 克昌(心の傷を癒すということ/作品社の著者)

2000年12月2日、肝細胞がんのため、ご逝去為さいました。まだ39歳という若さです。
阪神淡路大震災の折、多くの医師等をコーディネートされ奔走なさった方です。
個人的には、このHPを高く評価頂きました事、私が挫けそうな時メールで適切なアドバイスを頂戴した事。今でも忘れない。絶対に忘れない。医師として、人として最高の方でした。一度お会いしましたが、甲南大学中井教授のおっしゃるようにナイスな方でした。ずっと震災と戦いつづけ、そして倒れた。医者の不養生。亡くなる二日前、三人目の子供が生まれたと聞く。
混濁した意識のなかで最期に遺した言葉は、「頼む」、だったそうです。「頼む」。わかりました。幾ばくかでも安さんの意志を引き継ぎ、活動したいと思います。お別れはいわない。
時に神はむごい事をする。ここに哀悼の意を表する。 

 


安先生へ。漸く兵庫県心のケアセンターに行くことができました。安先生が残した足跡をたどることができ感無量でした。

2012月7月22日

 

 

人を愛し、自分を愛し、自分を信じなさい。そして人の痛みの分かる人になりなさい。
そうすれば、全てが平穏に満たされる。

このページをご覧の皆様に、この言葉を贈りたい。

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